「組織の成功循環モデル」とは、マサチューセッツ工科大学のダニエル・キム教授が提唱している理論で、組織が成果を上げ続け、成功に向かう過程や仕組みを明らかにしたものです。組織としての「結果の質」を高めるためには、一見遠回りに思えても、組織に所属するメンバー相互の「関係の質」をまず高めるべきとしています。その際に最も効果的な手段となるのが承認なのです。
これに対し、多くの企業は結果を出すことを先に求めがちです。そこで成果が上がらないと、対立・仕事の押し付け・パワハラなどが起こり、人間関係を悪くしてしまいます。結果、社員が受け身になったり、失敗を回避するようになり、自己中心的な行動をするようになってしまうという悪循環に陥ってしまうのです。
- 神戸大学大学院経営学研究科博士前期課程修了。組織論を専門とし、特に個人の視点から組織・マネジメントについて研究を行う。『ムダな仕事が多い職場』(ちくま新書)、『なぜ日本企業は勝てなくなったのか-個を活かす「分化」の組織論-』(新潮選書)など、20冊以上の著書を執筆。
保険会社S社の関西地方にある事業所所属営業職666人が調査対象。
管理職が意識的に部下を承認した職場の従業員は、営業成績が顕著に伸びました。
出典:太田肇(2013) 『子どもが伸びる ほめる子育て』 筑摩書房
関西地域にある公益企業の一支店における全営業所員および支店の一部従業員(35歳未満)が調査対象。
意識的に上司が承認を行ったグループでは、自己効力感・内発的モチベーションが高まりました。
出典:太田肇(2011)『承認とモチベーション』同文館出版
承認力向上研修[5時間]の内容
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- 1.承認の意義と効果の理解
- 承認の定義や目的について講義をします。
承認は個人に生きる力を与え、組織の成長に繋がることを理論的に理解し、承認力向上に取り組みたいという意欲を醸成します。
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- 2.承認力チェックとグループワーク
- 「承認カード®」を使い、現在の自分の承認力を点数や承認ランクと照らし合わせてチェック。自分の承認力について気づいたことを自己開示し、メンバーと意見交換をします。自他の承認力に関する気づきを共有することで、承認に対する関心が格段に高まります。
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- 3.承認のポイントと公式の理解
- 効果的な承認をするために、承認のポイントと公式を学びます。このポイントと公式に沿って承認ができるようになると、「きちんと承認ができている」と自信が持てるようになります。
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- 4.承認ロールプレイング
- 承認のポイントと公式をもとに、話し手(承認される人)と聞き手(承認する人)に分かれて、相互に承認のロールプレイングをします。短い時間の中でも、承認を受けた人は自己肯定感や自己効力感が満たされ、内発的モチベーションがアップします。承認した人は相手の反応や感想を聞いて、承認の効果や威力を実感します。
承認力向上のための職場実践[約1ヶ月]の内容
実際に職場の仲間に承認を行い、効果を体感してもらいます。この時、常に承認のポイントと公式を意識してもらいます。職場実践では「うまくできたこと」「うまくできなかったこと」の両方を経験しますが、その体験こそが承認力を向上させます。実践を通じて組織全体の「関係の質」「思考の質」「行動の質」が向上しはじめ、よい成果が生まれやすい風土が醸成されます。
※職場実践シートを使用して各自振り返りを行うことで、承認への意識と承認力を高めます。
フォロー研修[約3時間]の内容
職場実践の結果の共有をグループ及び全体で行います。様々な気づきを共有し、相互にアドバイスを行います。社員同士の「関係の質」や個人の「思考の質」「行動の質」がどう変化したかについても共有します。最後に、今後承認をどのように継続していくかを話し合うことで、職場に承認の風土を定着させていきます。
- 本研修は、一般社団法人 個を活かす組織づくり支援協会の「承認コミュニケーター※」資格認定試験の対象プログラムになっています。
※承認に対する正しい知識を有し、承認カード初級及び中級の承認が日常の職場で意識的にできる人材
承認に関する理論と実証研究をもとにつくられた「承認カード®」(同志社大学政策学部教授 太田肇氏監修)をツールとして活用。ゲーム感覚で楽しく効果的に承認力を身につけることができます。
自身の承認力を客観的かつ即座に把握でき、確実に身につけることができます。
会社概要
社員数 | 75名 |
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事業内容 | 乳製品、洋菓子類の製造・販売、喫茶店、レストランの経営 |
全社員が受講し、そのうち約80%の社員が職場の人間関係において「普段あまり話さなかったメンバーも含め、会話が増えた」「笑顔が増えた」「仲間との距離感が縮まった」「職場の雰囲気が良くなった」とアンケートに回答。
生産性向上の基盤となる「関係の質」が向上し、社員から良いアイデアが多く出るようになり、各々に当事者意識が生まれました。
会社概要
社員数 | 30名 |
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事業内容 | 医療用具販売業、医療用具開発・設計、医療コンサルティング |
職場実践シートやアンケートの結果から、大多数の受講生が「コミュニケーションが増えて仕事の進みがスムーズになった」「職場が明るくなった」「仲間との心の距離が縮まった」「会話が増えた」と回答。個々の持ち味を組み合わせて仕事に取り組むようになり、組織のチームワークが飛躍的に向上しました。また、管理職候補の若手社員が部下から尊敬され始めました。
承認力向上研修
対象者 | 管理者、職場リーダー、一般社員、新入社員 ※全社員での受講が最も効果的です。 |
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実施形態 | グループによるワークショップ形式 ※1グループ4名の編成で、1回の研修につき最大5グループまで |
実施時間 | 5時間 |
費用 | 講師料金:参加人数により別途お見積いたします 「承認カード®」3,300円(税込)×受講人数 テキスト一式770円(税込)×受講人数 ※交通費、宿泊費は実費をいただきます |
承認力向上フォローアップ研修
対象者 | 管理者、職場リーダー、一般社員、新入社員 ※全社員での受講が最も効果的です。 |
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実施形態 | グループによるワークショップ形式 ※1グループ4名の編成で、1回の研修につき最大5グループまで |
実施時間 | 3時間 |
費用 | 講師料金:参加人数により別途お見積いたします ※交通費、宿泊費は実費をいただきます |