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SDGs・ESG経営カード

SDGs・ESG


1.SDGs

1)SDGsとは

2015年9月「国連持続可能な開発に関するサミット」がニューヨークで開催され、「我々の世界を変革する持続可能な開発のための2030アジェンダ(2030アジェンダ)」が全会一致で採択されました。この「2030アジェンダ」の中に、私たちが目にするSDGs(Sustainable Development Goals/持続可能な開発目標)の17の目標が記されています。

SDGsは、2030年の未来へ向かって、世界の様々な問題を根本的に解決し、すべての人々にとってより良い社会をつくるために設定されたものです。
SDGsそのものには、法的拘束力はありませんが、世界各国が一致団結し、当事者意識をもって取り組んでいくこと、そして「企業を中心とした民間の力を活かしていくこと」が重要であると考えられています。

SDGsでは「17の目標・169のターゲット・244の指標」が設定され、具体的かつ普遍的な内容が明示されています。

17の目標・169のターゲット・244の指標


参考)国際連合広報センター


2)日本におけるSDGsの現況

SDGsについて、今や、新聞・テレビ・ネット等あらゆるメディアで目や耳にしない日はないと言えます。

その一方で「SDGsって儲かるの?ボランティアでしょ?」「環境系の取り組みがSDGsじゃないの?」といった誤解(不理解や不適切)が生じています。既存の取り組みをSDGsに置き換えただけの「SDGs宣言」を行って、その後の全社的な取り組みに繋がらない(不浸透や不十分)といったことが多方面で起こっています。

日本におけるSDGsの取り組みとしては、2016〜2019年ごろの第一次(先進的な大手・グローバル企業が中心)ブーム。そして、2020〜2022年の第二次(官公庁・地銀・中小企業を中心)ブームが起こっていたと感じています。

ここでブームと表現した理由は、その多くの企業において、自社の経営理念や経営戦略(事業・人事含む)を基盤(≒経営や事業の目的を達成)としてSDGsを活用したのではなく、流れに乗る形で「SDGs宣言」をして満足してしまった。というところにあります。

なお、最近は「経営理念の実現や事業目標の達成に向けて本腰でSDGsに取り組もう!」といった企業が増えてきており、明るい兆しが見えてきています。


2.ESG

1)ESGとは

SDGsとならんで、よく耳にするのが「ESG投資」や「ESG経営」です。グローバルの視点ではSDGsよりもESGの検索数が多いなどより一般的です。ここではまず、ESGの歴史から振り返っていきます。

ESGの源流といわれる「社会的責任投資(Socially Responsible Investment:SRI)」は、1920年代のアメリカにおいて、キリスト教財団の資産運用(寄付金など)から始まったとされるのが一般的です。その当初は、教義に反する「武器、ギャンブル、たばこ、アルコール」などに関わる企業に対しては、倫理的な観点から投資を外す(ネガティブ・スクリーニング)判断をしたというものです。

1960年代には「ベトナム戦争反対」の気運が高まり、特にナパーム弾や枯葉剤が問題視され、軍事関連産業の株式売却や株主への提案が盛んに行われました。

1980年代には南アフリカ共和国の「アパルトヘイト政策」に異を唱える形で、同国へ進出する企業に対する投資を控える動きがあり、1990年代には「オゾン層の破壊」に端を発し、二酸化炭素を多く発生させる石油・石炭産業への風当たりが強くなりました。

その後、地球全体の「環境問題」や、発展途上国などでの「人権問題」が取りざたされ、環境問題や社会課題に配慮する企業へ投資する動き(ポジティブ・スクリーニング)が活発化しました。

この流れの中、2006年4月、当時の国連事務総長であるコフィー・アナン(2001年からのMDGsも推進)が、機関投資家をはじめとする金融業界に対して「あなたたちの判断ひとつで世界が変わる」と呼びかけ、次の6つの原則からなる「PRI(責任投資原則:Principles for Responsible Investment)を提唱しました。

PRIの原則のうち、第1〜3には「第1原則:私たちは、投資分析と意思決定のプロセスにESGの課題を組み込みます」「第2原則:私たちは、活動的な所有者となり、所有方針と所有習慣にESGの課題を組み入れます」「第3原則:私たちは、投資対象の主体に対してESGの課題について適切な開示を求めます」とESGの文言が入っています。

まさに、E(環境)、S(社会)、G(ガバナンス)を考慮し、それに対応した経営を行っていくことこそが「長期的な企業価値の向上」に繋がるという、今日の考えに至るきっかけとなっています。

3.SDGs・ESG経営とは?

1.のSDGsの目標達成を会社として目指しながら経営することを一般的に「SDGs経営」と称します。またE(環境)、S(社会)、G(ガバナンス)を考慮しつつ「長期的な企業価値の向上」を重視した経営スタイルのことを一般的に「ESG経営」といいます。最近では、これら2つをセットにした「SDGs・ESG経営」や「サステナブル経営」といった表記をよく見かけるようになりました。

これほどまでに「SDGs・ESG」や「サステナブル(持続可能性)」が注目され、経営に取り入れられている背景としては、「短期的な事業利益の追求(儲ける)」から「長期的な企業価値の向上(儲け方)」への転換があると考えられます。

例えば、経営に必要な6つの資本「財務資本・知的資本・製造資本・人的資本・社会関係資本・自然資本」のうち、短期的な事業利益の追求によって、地球温暖化や気候変動、生態系への影響などを引き起こし「自然資本(森林・土壌・水・大気・生物資源など)」が棄損され、年々、経営に大きな影響を与えつつあります。

そこで「地球全体の持続可能性(≒SDGs)」と「企業・事業の持続可能性(≒ESG)」の両立を長期的な視点にたって行うことが求められてきています。

ESGについては、もともと「ESG投資」からスタートしましたが、近年は「ESG経営」(ESGに積極的に取り組んでいる企業について業績が良好な傾向があるなど)として注目を集めています。これは、ESG評価の高い企業は、人材・生産性・ブランド力など目に見えない要素が競争力の高さにつながり、業績や株価の面でも平均以上の評価を市場から得ている。といったことに繋がっていると考えられます。

つまり、国連の「SDGs(持続可能な開発目標)」と投資や経営で注目を浴びる「ESG(≒持続可能性の高い企業の特徴)」は車の両輪であると考えられます。

現行においては、ESGにおける世界全体で統一された基準は整備されていませんが、主要なESGの具体的な内容(情報の開示基準)などをまとめるとおおよそ次のようになります。

主要なESGの具体的な内容

 

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