社長にお話を伺うと同時に、社員の方々へもヒアリングを行いました。その中で、社員間で噴出している不満の原因は、会社のルールが明確化されていないことから起こる「不安」や「不公平感」にあると判断しました。それまでも社内ルールは存在していたのですが、経験や習慣による「暗黙のルール」だったために、対応する人の経験や主観によってその都度ルールが変わってしまうという状況になっていたのです。
そこで新たに、「就業規則」「給与規程」を作成し、社内のルールを明確に示すことにしました。
「就業規則」の作成にあたっては、現状とかけ離れた“ルールのためのルール”にならないよう、社内で暗黙の了解になっているような事柄を洗い出しながら、会社の現状に沿った実現性の高いルールとしました。また、曖昧だった「残業の届出」「有休の申請方法」といった日常的な事柄も明記して、社員の中にくすぶっていた疑問を解消しました。
家族的で中がよい会社ほど、「言いたくても言えない」雰囲気ができてしまうのかもしれません。この課題は、まさにそこに原因がありました。しかしトラブルの顕在化は、組織を見直すチャンスであるとも考えられます。今回も、このタイミングを組織が成長する機会ととらえ、会社が社員に求める姿、社員としてしてはならない行為を社員に理解してもらえるような服務規律や懲戒事項も詳細に定めました。
規則を定める際に気をつけることのひとつに「わかりやすさ」があります。読んでも理解できない難解な規則では定める意味がありません。今回は、規則が完成に近づいた時点で一般社員にも意見を聞き、分かりづらい箇所を簡単な言い回しに代えるなどの修正をしていきました。