病院で働く人たちは、看護師、医療技術職、事務職…と、職種が多岐にわたり、同じ組織にいても置かれている立場も状況も様々です。また、医療従事者は一般企業に努める人と比較して人事評価になじみが薄く、「評価」されることに抵抗感をもつ人も少なくないため、まずは皆さんの声を集めることからはじめました。
各職場の代表者を集めた改革プロジェクトメンバーとの打ち合わせでは、ときに出口の見えない議論になりました。仕事内容はもちろん勤務形態や立場も異なるため、さまざまな意見が出てくることは当然です。それでも「組織改革が必要なこと」、「その一環としての評価制度がいかに重要なのか」ということを説明しながら話し合いを重ねました。同時に、人事評価に対して積極的なイメージを持っていただくための説明も繰り返しました。
医療従事者はある種、職人的な側面をもっているのですが、今回は組織力を高めることが大きな目的であったため、「チーム医療」が推進されることを重視して制度を設計していきました。人事評価の要諦である「人事評価基準」についても、メンバーでよく議論しながら定め、今後、組織として理想とする医療従事者の姿を共有していきました。コンピテンシーモデルを提供するなど、議論が効率的に進むような工夫をしながら議論を重ねました。
この案件は、制度の設計から運用・定着まで約2年の計画で実施しています。その大部分を、設計までのヒアリングや運用段階の説明や相談といったコミュニケーションに費やしていますが、新しい制度を皆さんが理解し納得した上で定着させなければ組織力は高まりません。大変な労力と時間が必要ですが、地道な取り組みは欠かせないと考えています。