今回のケースでは、退職者と管理監督者の日常的なコミュニケーション不足が、トラブルの大きな一因であると考えました。また、就業規則が存在していたにもかかわらず、その周知徹底がされていなかったことが、引継ぎもせずに突然出社を拒否するという非常識な行動を誘発したとも考えられました。
Aさんは会社からの要請を拒否していたため、当社からAさんに連絡をとりました。なかなか直接会うことはできませんでしたが、粘り強く連絡を取り続けた結果、当社の呼びかけに応じてくれました。私たちは、中立的な立場で今後のAさんについてキャリアカウンセリングを実施。話し合いの中で、Aさんの気持ちや、なぜ今回のような事態になったかを肯定的に聞きました。また、入社誓約書と就業規則についてもしっかりと説明をし、退職することはAさんの自由だが、就業規則に基づいて退職届や退職に際しての誓約書を提出してもらうことに承諾を得ました。
Aさんとのトラブルは解決することができましたが、再び同じような事態が起こらないとも限りません。お客様も、なんらかの対策を講じる必要性を痛感されたようで、就業規則に管理職の役割・責任についての項目を定め、就業規則教育および周知を徹底する取り組みをはじめました。会社は管理監督者の業務レベルの向上や部下とのコミュニケーションの充実について一層力を入れ、私たちも就業規則の周知を徹底するための、就業規則説明会の実施をお手伝いしました。その結果、管理監督者は、日々の労務管理や部下とのコミュニケーションの重要性を再認識できたと感じていただけたようです。