こんにちは、岸です。
2014年、今年に入ってから昨日までに読んだ本は、17冊。
ほぼ1週間に2冊のペースですね。
多いのでしょうか?少ないのでしょうか?
読みたい本は、次から次へ増えるばかりで、
もっと速いペースでたくさん読みたいのですが、なかなかそうも行きません。
17冊のうち8冊は文芸書だったのですが、
その中で特によかったのが、『蜩ノ記』(葉室麟・著) です。
http://p.tl/zgPU
時代小説は久しぶりでした。
この作品は、何年か前に直木賞を受賞しており、
有名な作品ではありますが、読んだことはありませんでした。
たまたま、未だに懇意にさせて頂いている、元クライアントの人事の方から
葉室麟の小説は面白いよと勧められ、読んでみた次第。
主人公の1人、戸田秋石(しゅうこく)という武士の、
誠実で、その凛とした生き方に胸打たれました。
話が進むにつれ、作中の主役(語り部)である檀野庄三郎との関わりの中で、
戸田秋石という「人」が、徐々に浮き彫りになっていくわけですが、
秋石の懐の深い、その圧倒的な人間力には、
今を生きるわれわれにも学ぶところが多分にあります。
・・・ネタバレにならないようにと思って書いていますが、
これだけでは何のことかさっぱりわからないですね(笑)。
ともあれ。
結末は、古式ゆかしい日本の武士たるものの定めということなのか、
本当は違う結末を少し期待したのですが、
この結末から、秋石の凛とした生き方を強く印象づけられたのもまた事実。
作品を読み終えた瞬間、思わず正座し、姿勢を正していました。
悲しみをぐっとこらえて。
そして、あらためて誠実であろうと胸に刻みました。
秋石のような自分に厳し過ぎる生き方はできないかもしれないけど、誠実であろうと。
そんな気づきを得ました。
忘れてならない、この作品のもう1つの良さは、風景描写の美しさにあります。
冒頭から、いきなりそれは始まります。
葉室凛の世界にすっかり惹きこまれてしまいました。
この作品は、今年の秋に映画が上映されるとのことですので、
この世界を映画でも堪能できればと、今から楽しみです。
今年は、早々に良い本と巡り会えました。