こんにちは、岸です。
弊社では「持ち味カード」を販売していますが、
人ではなく企業にも「持ち味」はあるんですね。
トマトケチャップやトマトジュースで知られるカゴメでは、
20年以上前に「総合食品メーカー」を目指す戦略を打ち出し、
事業の多角化を志向したことがあるそうです。
消費者ニーズの多様化に合わせ、
多面的、総合的な食品メーカーへ脱皮するのが戦略の狙いだったようです。
が、この戦略によって売上高の増加はもたらしたものの、
収益力の低下を招き、ブランドイメージも拡散し、「カゴメらしさ」が消失する
という最悪の結果に終わったとのこと。
最近あらためて読んだ
『企業経営入門』(遠藤功・著、日本経済新聞出版社)に紹介されています。
この戦略は、トマトやにんじんを育種し、栽培するという泥臭い仕事を
誇りを持ってやってきた現場において、
自らの「持ち味」を軽視し、資源分散につながるとして、納得性が生まれなかったといいます。
カゴメは、その後、本来の「持ち味」を活かした「農業食品メーカー」へ回帰し、
商品ラインを半数近くに削減するとともに、
「カゴメらしさの追求」という判断基準を明確に打ち出して、
絞り込んだ商品を一品一品大切にしながら、
手作りで育てていくことに、全社の力を結集させていったそうです。
「持ち味」を軸にした原点回帰という名の戦略転換です。
その結果、
キャロットジュースや野菜ジュース、六条麦茶などのカゴメらしいヒット商品が生まれ、
トマトケチャップなどの定番商品もさらにシェアを上げることに成功したそうです。
農業食品メーカーとしてのカゴメブランドも復活したとか。
自らの「持ち味」を徹底的に極め、ユニークな価値を生み出せば、
自らの手で市場を活性化させることが可能だということを示した好例です。
ここに企業の本質的な競争力があります。
まさに、「持ち味経営」です。
みなさんの会社でも、今一度、自社の「持ち味」は何だろうかと、
とことん考えてみると良いかもしれません。