「お父さん、今日、早い?遅い?」
「どうして?」
「ぼく、お父さん、早く帰ってきたらいいな。一緒にオセロして遊べるもん」
こんな風に言われると、たまらない。
年長さんの次男を保育園に送っていくのが、僕の毎朝の役目。その途中、毎日のように早く帰ってくるのか、尋ねてくる。可愛くてしかたない。とてつもなく幸せだ。
子どもが待ってると思うと1分1秒でも早く仕事を切り上げて帰りたくなる。
これって自然のことだと思う。本当に心の底から嬉しい。
「ワーク・ライフ・バランス」という言い方をすると、仕事と家庭とを物理的、時間的にうまく両立させなければならない、という義務感に駆られてしまうが、本来はそんなもんじゃないだろう。
私生活が充実すると仕事が捗ったり、仕事でお客様に喜んでもらえたりすると家族との時間がより楽しくなったり。 逆に、家庭生活や夫婦生活がうまく行っていないと仕事に身が入らなかったり、仕事上のトラブルや納期に対する切迫感、人間関係のいざこざなどのストレスを引きずって家に居るときは機嫌が悪かったり、誰かにあたってしまったりということもあり得る。
メンタルヘルス不全は、仕事上のストレスが原因になるケースばかりじゃない。家庭でのストレスや家族間の関係が原因になるケースも少なくない。
ダニエル・ピンク氏や高橋俊介氏は、ワークとライフの統合という意味で、「ワーク・ライフ・インテグレーション」という表現を使われるが、これは形而上的、精神的にワークとライフがその境目なくどちらも重要で、どちらも充実していると心から思える状態のことを言う。 そう思う。
なので、時間じゃない。ワーク・ライフ・バランスも、もともとの意味はそういうことだと思う。
本来、ワークもライフの一部に過ぎない。
そう考えるとなおのこと、ワークもライフもどちらも大切で、どちらも充実させられたらと思う。
「お父さん、今日、早い?遅い?」 なんて子どもに聞かれたら、バリバリ仕事して、子どもが起きてるうちに帰って、オセロ。 これが最高。 そろそろ勝たせてもらえないかもしれないけど。
(岸)